2013年5月30日木曜日

【お知らせ】インドネシア情報ニュースレター購読のお誘い

2012年10月から、毎週月曜日に「JACビジネスセンターのインドネシア情報ニュースレター」をメールベースで配信してきました。前の週の一週間の出来事を現地インドネシア語紙から拾って日誌にまとめるとともに、重要記事やコラムなどを提供してきました。

これまでは無料で配信してきましたが、6月より、有料化することになりました。有料化に伴い、独自の分析を加えた内容を増やし、購読者の皆さんに提供していきたいと考えております。

購読料金は1メールアドレスに付き6月分から6ヵ月分(180万ルピア)または1年分(360万ルピア)のいずれかでのお支払いをお願いいたします(インドネシア国外での購読者については、同額相当分の米ドルまたは日本円での支払方法を検討中です)。

購読希望の方は、恐れ入りますが、支払期間(6ヵ月分または1年分)をご明記のうえ、matsui@jac-bc.co.idまでメールにてお知らせください。メールを受け取った後、いただいたメールアドレス宛に、こちらから購読料の支払い方法をお知らせいたします(少々お時間をいただいております。ご容赦ください)。

5月31日までに購読希望をいただいた方につきましては、6月分から6ヵ月分(150万ルピア)または1年分(300万ルピア)の割引料金を適用させていただきます。この機会にお早めにお申し込みください。

なお、6月以降は、購読料金をお支払いいただいた方にはオリジナル版を、購読料金をお支払いいただいていない方にはダイジェスト版(記事見出し5本)をお送りいたします。

以下、参考までに見本版(5月27日付)を掲示します。


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JACビジネスセンターの
インドネシア情報ニュースレター No. 33 / 20130527日号
オリジナル版(6月より有料)
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JACシニアアドバイザーの松井和久です。
本ニュースレターは、6月分より有料化させていただきます。このため、次号より、購読を申し込まれた方にはオリジナル版を、まだ申し込まれていない方にはダイジェスト版を送らせていただきます。詳細は<JACビジネスセンターからのお知らせ>をご覧ください。
本ニュースレターの配信不要の方、逆にお知り合いで配信を希望される方がいらっしゃいましたら、松井(matsui@jac-bc.co.id)までご一報ください。
 余談ですが、私個人の新ブログ(「インドネシアあるくみるきく」http://matsui-indonesia.blogspot.com)を執筆中です。お時間があるときにでもご高覧いただければ幸いです。

JACビジネスセンターからのお知らせ>

 ●6月から情報ニュースレター有料化・料金のお知らせ
 ●日系企業で働くインドネシア人スタッフ向けワークショップ(6月12日・スラバヤ、7月2日・ジャカルタ)
 ●インドネシア・ウォッチ講演会(7月3日・ジャカルタ)
 ●JACスラバヤ・オフィスのサービス

●6月から情報ニュースレター有料化・料金のお知らせ(5月中の申込は割引)
 誠に勝手ながら、6月より本情報ニュースレターを有料化させていただきます。
 購読料金は1メールアドレスに付き6月分から6ヵ月分(180万ルピア)または1年分(360万ルピア)のいずれかでのお支払いをお願いいたします(インドネシア国外での購読者については、同額相当分の米ドルまたは日本円での支払方法を検討中です)。
 購読希望の方は、恐れ入りますが、支払期間(6ヵ月分または1年分)をご明記のうえ、matsui@jac-bc.co.idまでメールにてお知らせください。メールを受け取った後、いただいたメールアドレス宛に、こちらから購読料の支払い方法をお知らせいたします(少々お時間をいただいております。ご容赦ください)。
 5月31日までに購読希望をいただいた方につきましては、6月分から6ヵ月分(150万ルピア)または1年分(300万ルピア)の割引料金を適用させていただきます。この機会にお早めにお申し込みください。
 なお、6月以降は、購読料金をお支払いいただいた方にはオリジナル版を、購読料金をお支払いいただいていない方にはダイジェスト版(記事見出し5本)をお送りいたします。
本ニュースレターならではの情報発信に努めてまいりますので、引き続き、ご愛読いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

●日系企業で働くインドネシア人スタッフ向けワークショップ(6月12日・スラバヤ、7月2日・ジャカルタ)
 JACビジネスセンターでは、日系企業で働くインドネシア人中間管理職を対象としたコミュニケーション能力向上のための「ワークショップ・ジャパン」を実施しています。本ワークショップでは、インドネシア人中間管理職・スタッフが日常の職場などで感じている問題点や意識を明らかにし、日本的経営の現状を踏まえながら、それらをどのように改善・解決していくか、彼ら自身に考えてもらい、それを実践していくように働きかけます。このワークショップの概要については、参加者をお送りいただいた日本人経営者・管理者向けに日本語でフィードバックいたします。
 現在、以下の参加申し込みを受け付けております(いずれも定員30名)。
・6月12日(水)10:0017:00、スラバヤ(Fave Hotel MEX Surabayaにて)
・7月2日(火)10:0017:00、ジャカルタ(JACスカイビジネスセンターにて)
 参加希望・お問い合わせは、「ワークショップ(スラバヤ)」または「ワークショップ(ジャカルタ)」と明記のうえ、seminar@jac-bc.co.idまたはmatsui@jac-bc.co.idまでお寄せください。
 このほか、企業内でこの種のワークショップの受付も開始し、すでに数社から問い合わせを受けております。ご希望の場合には、出張ベースで対応させていただきますので、お問い合わせください。

●インドネシア・ウォッチ講演会(7月3日(水)16:3018:30
 半年に一度、インドネシアの政治経済の現状を斬る「インドネシア・ウォッチ講演会」を7月3日(水)にジャカルタで開催します(7月後半にスラバヤでも開催の予定)。
 国際収支や為替軟化など、昨年までとは様相が変わり始めた経済状況をどう捉えるか。2014年総選挙・大統領選挙を控えて、政治の動きが経済にどのような影響を与えてくるのか。投資先としてのインドネシア経済はまだ安泰なのか。
 これらの問いに、現状での答えを出すべく、講演会の準備を進めていきたいと考えております。参加希望・お問い合わせは、「講演会(ジャカルタ)」と明記のうえ、seminar@jac-bc.co.idまたはmatsui@jac-bc.co.idまでお寄せください。

JACスラバヤ・オフィスのサービス
 ビジネスマッチング、企業設立支援、通訳・翻訳、ビザ取得・許認可手続から人材紹介・リクルートメント、さらにはスラバヤでの生活支援にいたるまで、スラバヤでもワンストップサービスを開始しています。また、ジャカルタ・オフィスと緊密に連絡を取りながら、東ジャワはもちろんのこと、インドネシア東部地域でのビジネス展開もサポートする体制を作ってまいります。
 また、日本語だけでなく韓国語や中国語の通訳・翻訳、会計代行や企業内部監査の相談もお受けいたします。さらに、ご希望があれば、スラバヤ市内の4~5つ星ホテルを特別料金にてご予約させていただきます。お気軽にmatsui@jac-bc.co.idまでご連絡ください。
 スラバヤ・オフィスの住所は以下のとおりです(市の中心部に位置します)。近くへおいでの際には、お気軽にお立ち寄りください。
   Intiland Tower 2nd Floor, Suite 7A,
Jl. Panglima Sudirman 101-103, Surabaya 60271, INDONESIA
  Phone: 031-5349-259, Fax: 031-5349-263

<今週のコラム>(次号より有料版のみ)

 新大蔵大臣にハティブ・バスリ(Chatib Basri)投資調整庁長官が任命された。彼は1965年8月22日生まれの47歳。インドネシア大学経済学部出身のエコノミストで、オーストラリア国立大学で博士号を取得後、インドネシア大学経済社会研究所(LPEM)副所長などを歴任した。世銀、IMFUSAIDなどのプロジェクトも多数経験した。KOMPASなど地元メディアに彼の経済評論がよく掲載されている。
 私も何度か彼と会っているが、彼は必ずしもゴリゴリの学者タイプではない。理論をベースにしながらも、現実を踏まえて問題解決を意識しており、個人的に理論派という印象はあまりなかった。むしろ彼は、社会経済学的なアプローチを採り、いわゆる新古典派的アプローチに批判的だったエコノミストの故シャフリル氏と近かった。ハティブ・バスリの専門はむしろ国際経済学と記憶しているが、経済学全般への守備範囲は広い。その意味で、彼を「市場原理主義者」とか「世銀・IMFの手先」とか呼ぶのは見当違いではないかと思われる。
 2004年のユドヨノ政権誕生の前後から、ユドヨノの経済ブレーンの一人と見なされており、以前から国家開発企画庁(バペナス)長官の有力候補であったが、実現しなかった。プロ意識が高く、また政治的な野心もなく、誰からも好かれる気さくで質素な人物である。
 大蔵省には、同年代で気心の知れた、インドネシア大学経済学部の2年先輩のバンバン・ブロジョヌゴロ副大臣兼財政政策庁長官がいる。このコンビが大蔵省を動かしていくものとみられる。二人ともブディヨノ副大統領に近いほか、アルミダ国家開発企画庁長官とも同世代の仲間であり、これまでにない、かなりコンパクトな関係の中で経済政策が議論されていくものとみられる。彼らと一緒に仕事をした経験のある身としては、彼らの手腕に期待したいところである。

<情報ピックアップ:ダイジェスト版>

0520日【投資】豊田通商などLippo Cikarangに日本人向けサービスアパートメントを建設。
0521日【人事】新大蔵大臣にハティブ・バスリ投資調整庁長官が就任。
0522日【経済】政府、2013年の製造業部門の成長目標を当初の7.15%から6.5%へ修正。
0522日【人事】新陸軍参謀長にムルドコ陸軍副参謀長が就任。
0523日【事件】インドネシアチームの2名は、エベレストの登頂に成功。

<情報ピックアップ:オリジナル版>(次号より有料版のみ)

0518日【汚職】【パプア】1.5兆ルピアという多額の預金を持っていたパプアの警察官Labora Sitorusは国家警察により正式に逮捕。
0520日【投資】豊田通商、トヨタホーム、東急ランドはPT Lippo Karawaci Tbkと合弁企業TTL Residencesを設立し、Lippo Cikarang7000m2の土地に3000万ドルを投じてサービスアパートメントを建設する。180室で日本人向け仕様とする。
0520日【鉱業】地方鉱業者協会(Assperda)は、精錬施設を作る能力のない鉱業者は鉱産品を国内の精錬業者へ販売できるように特別な政策を策定するよう求めた。
0520日【環境】科学技術省は、インドネシア国家科学院(LIPI)製の電気マイクロバスHevinaの試運転をジョグジャカルタで開始。電気バスは当面無料で、Taman Pintar周辺のジョグジャカルタ市内観光名所を回る。
0521日【事故】【パプア】PT Freeportの地下坑道事故で、事故発生の5月14日以降、20日までに生還者10名、遺体で収容された者は28名となった。
0521日【人事】新大蔵大臣にハティブ・バスリ投資調整庁長官が就任。
0521日【事件】3月23日に起きたジョグジャカルタ・チュボンガン刑務所襲撃事件について、第4師団軍警察調査チームは、陸軍特殊部隊の兵士12名を容疑者とするとともに、その他60人を証人として取り調べた。陸軍特殊部隊の上官の関与はなかったと結論づけた。
0521日【司法】憲法裁判所は、NGOや社会団体が第三者として事前審理要求が可能、という判断を示した。これにより、第三者は汚職疑惑などに対して事前審理を要求できる見通しとなった。
0522日【保健】ジャカルタ首都特別州のジョコ・ウィドド知事は、16病院が「健康ジャカルタカード」への協力を辞退する事態となったことを受けて、病院に対して「損得を超えて人道的見地から協力してほしい」と訴えた。
0522日【経済】ヒダヤット工業相は、2013年の製造業部門の成長目標を当初の7.15%から6.5%へ修正したと発表。
0522日【人事】新陸軍参謀長にムルドコ陸軍副参謀長が就任。
0523日【軍事】国防治安省は、Airbus Military社とPT Dirgantara Indonesiaの協同で製造したCN-295を売り込むため、同機でフィリピンに到着。ASEAN6ヵ国を同機で回る予定。同機はすでに国軍が9機注文して2機を受け取っている。
0523日【政治】【東ヌサトゥンガラ】東ヌサトゥンガラ州知事選挙の決選投票日。Frans Lebu Raya-Beny Litelnoni組とEsthon Foenay-Paul Talo組が大接戦の展開。
0523日【政治】【西ヌサトゥンガラ】西ヌサトゥンガラ州知事選挙は、現職のTuan Guru Bajang Zainul Majdi-M Amin組が1.038.638票、44.37%の得票率で当選。
0523日【事件】7つの世界最高峰の登頂を目指すインドネシア7峰チームの2名は、エベレストの登頂に成功。2人は2012年にエベレスト登頂に失敗したが、これで世界7峰の登頂に成功。登頂は5月25日に発表。
0525日【行政】【アチェ】北アチェ県知事は、女性が公衆の面前で伝統舞踊を含む踊りを踊ることを禁じる指令を発布。とくに、男性が観ている目の前で踊ることがイスラム法に反すると解釈。
0525日【金融】ロイター電が24日付で流した「第一生命がPT Panin Laifeの株式40%の買収で合意」との報道に対して、PT Panin Lifeは、「まだ交渉中で決定ではない。合意後に改めて公表する」とコメント。PT Panin Life株の買収には、マレーシアのMalaysia AMMB Holdings Bhdも興味を示している。
0526日【政治】【バリ】バリ州選挙委員会は、州知事選挙の開票結果を発表。ゴルカル党、民主党、グリンドラ党などが推したMade Mangku Pastika-Ketut Sudikerta組が当選。闘争民主党などが推したAnak Agung Gede Ngurah Puspayoga - Dewa Nyoman Sukrawan組との得票差はわずか996票という僅差。
0526日【政治】【中ジャワ】中ジャワ州知事選挙投票日。民間調査会社のクイックカウントによると、闘争民主党の推すGanjar Pranowo-Heru Sujatmoko組が勝利。

*内容についてのお問い合わせ・ご意見・ご感想は、松井(matsui@jac-bc.co.id)までお願いいたします。
*本ニュースレターは、毎週月曜日発行です。


JACビジネスセンターのブログもご覧ください(http://jacbc.exblog.jp/
*人材リクルートメントについてもお気軽にご相談ください。

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2013年5月28日火曜日

スラバヤ空港でのGaruda Indonesia職員

5月25日、スラバヤからジャカルタへ日帰り出張した。5月20~22日に一組、5月23~28日にもう一組、視察同行中で、後者については、仏教のワイサックで祝日であることを理由に1日だけあけてもらうことをお願いし、日帰り出張を行った。

25日朝、スラバヤのジュアンダ空港でGaruda Indonesiaのカウンターでチェックイン。通常よりも一人一人のチェックインに要する時間が長いので何かおかしいとは感じていた。自分の番になって、その理由がわかった。カウンターの職員曰く「直前の便がキャンセルになって、その客がお客様の予約した次の便へ振り向けられたため、オーバーブッキングとなり、乗れません。さらに次の便に振り替えます」とのこと。

はあ? 前の便がキャンセルになると後の便に振り替えて、後の便に予約を入れておいた私が乗れないわけ? 午前11時からジャカルタで会議のため、遅れないようにこの便にしたのに、どういうことなのか? これがGaruda Indonesiaの通常のやり方なのか? カウンターの職員に詰め寄ったが、彼女はGaruda Indoensiaではなく空港サービス会社の職員なので、、「Garuda Indonesiaのカスタマーサービスに話してください」と取り合ってくれなかった。

ともかく、次の便に振り向けられ、その搭乗券をもったまま、Garuda Indonesiaのカスタマーサービスへ。同じような運命になったと思われる何人かの乗客がそこにいた。Garudaのネームタグをつけた男性職員に苦情を話す。するとその職員、「ご意見を言っていただいたお客様をとてもありがたく思います」「素晴らしい意見ですね」「ご意見賜ります」と、褒め言葉が並ぶ。それでさらにカチンと来て苦情を言い続けると、今度は何度も「申し訳ありません」を繰り返し始めた。頭にきたが、埒が明かないので、あきらめて、当初乗る予定の次の便を気長に待つことにした。

振り向けられた次の便だとジャカルタ着は10:20、土曜・祝日で空港からジャカルタ市内への高速が空いていたとしても、おそらく間に合わない。会議の相手にお詫びの連絡を入れた。

話はここで終わらなかった。

ジュアンダ空港内のカフェで、中華チマキとコーヒーの朝食をゆったり摂っていると、先ほど私が会ったGaruda Indonesiaのカスタマーサービスの職員が、息を切らせながら私のところへ駈け込んできた。そして言う。「お客様、当初お乗りになるはずだった便ですが、キャンセルが一人出ました。お客様だけ特別にご案内したいのですが」と。

私と同様の運命になった乗客はたくさんいたはず。なぜ私だけなのか。他の乗客にもちゃんと情報を流したのか。病人や急用のある人など、緊急性の高い乗客がいるのではないか。私だけが特別扱いされるのはおかしい。こんな風にまくし立てていると、「もう時間がないんです。1人分だけですから、どうか搭乗してください」と懇願される始末。

2個あった中華チマキを1個だけ食べ、コーヒーを半分以上残したまま、その職員に急かされながら、搭乗口へ向かった。搭乗券の便名やシート番号は手書きで直され、日帰りで手荷物のみだったので、そのまま搭乗。本来、自分が乗るはずだった便に結局乗ってしまった。

便は約30分遅れで出発。最後の乗客である私を待っていたためだろうか。

機内を見ると、同じ柄のバティックを着たウムロ(断食明け以外の時期に聖地メッカへ行くこと)に行くと思われる方々が多数乗っていた。見た感じ、政府高官やその子弟のような方々が多いように見えた。

もちろん、ジャカルタでの会議の時間には間に合った。きっと、素直にラッキーと思えばよいのかもしれない。でも、後味の悪い何かが残る顛末であった。

2013年5月23日木曜日

ブラウィジャヤ大学での特別講義

5月18日、朝5時起きして、スラバヤから車で2時間のマランにある国立ブラウィジャヤ大学へ行き、日本語学科の学生を対象に「インドネシアの日系企業」という題で特別講義を行ってきた。

集まった学生は約120人、正直言って、かなりたくさんの学生が日本語を勉強していることに改めて驚いた。聞くと、ほとんどが日本語検定3〜4級程度、2級以上の学生は少ないようだ。2級以上になれば、そのほとんどが日系企業に就職できている。

床に薄いカーペットを敷いて座る形。考えてみれば、日本もそうだが、椅子はもともと外から持ち込まれたもので、床に座って、低い机に向かって学んだり作業したりするのが一般的にみえる。

かつて、マカッサルにいたとき、我が家の4分の3を地元の若者たちの活動に開放した際、彼らの運営する図書館(実はマカッサルで最初の民間図書館といってもよかった)では、床に座って低い机で本を読む形式だった。椅子は夭死していたにもかかわらず、である。

ブラウィジャヤ大学の学生たちは、床に座る形式のほうがリラックスして和やかな雰囲気でよい、という。たしかにそう思う。私の特別講義も、いつもより容易に笑いがとれ、リラックスした気分で行うことができた。

ブラウィジャヤ大学の日本語学科は、日本語検定2級取得を目標としている。講師陣も充実しており、日本人の講師の方が2名活躍されている。大学では4年時点で実地研修(KKN: Kuliah Kerja Nyata)を数ヵ月間行うが、将来の自分の職業に合わせて、学生が自分で探す。日本語学科の学生たちは、日系企業でのKKN受入を希望しており、実際、経験者もいるようだ。

また、ブラウィジャヤ大学は、株式会社ニキサエ・ジャパンと協力して、スカイプによるインドネシア語講座を開設している。最近、じゃかるた新聞などでも取り上げられた。

 日本インドネシア語学院

学生は講義をとても熱心に聞いてくれ、質問も活発だった。情報が行き交っているためか、以前に比べると、的外れな質問は本当に少なくなった。日本があこがれの国であることは確かだが、かつてのようなステレオタイプな日本イメージがいい意味で変わっていく様子がうかがえた。

2013年5月22日水曜日

現地視察同行中

昨日と今日はスマランに来ている。日本からのお客様の視察同行中。単なる視察ではなく、今後に何かをつなげられるような、ヒントをつかむためでもある。

その意味で、今回の視察は、スラバヤも含めて3日間という短いものだが、今後の様々な展開を意識させられるような内容になった。お客様も、「こんな方々と会えるとは思わなかった」「新しい発見がいろいろあった」と満足されている様子。

現地視察同行の中身を常に充実させ、お客様の満足度とその後の展開へつなげられるような、質の高い視察同行を行なっていきたいと思う。

インドネシアの、特に地方への視察同行の希望があれば、当方へご連絡いただきたい。

これからまた、スマランでアポ3件、朝食もまだ食べていないのでこの辺で。


2013年5月17日金曜日

ジャワ・ポス紙編集部訪問

5月15日、パートナーコンサルタントのM氏の紹介で、スラバヤを本社とする全国日刊紙『ジャワ・ポス』(Jawa Pos)の編集部を訪問し、編集長はじめ編集スタッフと面会してきた。その様子が、さっそく、5月16日付の『ジャワ・ポス』に掲載された。


実は、『ジャワ・ポス』の編集部へ行ったのはもう10年ぶりぐらいだった。あの頃からずっと、ジャワ・ポスの編集ルームはインドネシアで一番広いと言われていたが、どうも今もそうらしい。変わっていなかった。

この『ジャワ・ポス』紙は、全国の地方紙100紙以上にネットワークを持ち、記事を配信している。おそらく、全国をくまなくカバーしている新聞メディアといってよいだろう。

実は、首都ジャカルタに本社を置く新聞社で、『ジャワ・ポス』と同様のネットワークを持っているところはなく、クォリティペーパーとされる『コンパス』が『ジャワ・ポス』を追い上げようとしているが、全国地方紙のカバレッジでは、『ジャワ・ポス』に大きく後れを取っている。

『ジャワ・ポス』は、数は多くはないが、スラバヤがジャカルタを凌駕する事例の一つといってよいかもしれない。

この『ジャワ・ポス』に、定期的に日本=インドネシア関係に関するエッセイをインドネシア語で書いてみたいと考えている。その話を持ちかけると、編集部は大賛成。まずは、こちらで書いたものを読んでもらってから判断する、ということになった。

うまくいけば、この前のブログで呼びかけた「日本企業がインドネシアでどのような役割を果たし、どう貢献しているのか」をインドネシア語で発信する場を確保できそうである。しかも、うまくいけば、系列の地方紙にも転載されるようだ。

さあ、これから、である。

2013年5月14日火曜日

発信力を強化せよ

5月8日の第1回日本インドネシア経営者会議」で、インドネシア経営者協会(APINDO)のソフィヤン・ワナンディ会長が、「日本企業よ、発進力を強化せよ」と何度も力強く強調していたのが印象的だった。

ソフィヤン会長は、これまで長年にわたり、日本企業のよきパートナーであり、理解者である。彼は日本企業がこれまでのインドネシアの経済発展に多大な貢献をしてきたことを深く理解している。それをもっと、インドネシア社会にアピールすべきではないか、と呼びかけたのである。

何度かお会いし、お話をしたこともあるソフィヤン会長の気持ちは、察するにあまりある。日本に擦り寄るのではなく、かといって日本を利用して自分が、というのでもなく、パートナーとして、互いに確かな信頼を持って、ウィン・ウィンの関係を築きたい、というメッセージと受けとめた。

インドネシアの市場には、二輪車や自動車をはじめ、様々な日本製品があふれている。インドネシアの人々は意外に品質にこだわる。安ければいい、というマーケットでは必ずしもない。しかし、同じ価格帯のモノであれば、品質のよいほうを選び、同じ品質のモノであれば、価格の安いほうを選ぶのは、当たり前のことであろう。

そうやって、たまたま選ばれたのが日本製品だった、ということではないか。日本が好きだから、日本製品を信じているから、インドネシアの人々が日本製品を選んでいるのでは必ずしもないと考える。

しかし、日本製ならば必ず売れる、みんな日本が好きだから、と思い込んでいる向きは決して少なくない。日本を前面に出しているから売れるとは限らない。基本は、いいものを安く、というシンプルな原則である。

実際、日用品や家庭用品でかなりの市場シェアを持っている日本製品について、現場で話を聞くと、人々は必ずしも日本製とは意識していない。日本製と知らないケースも少なくない。彼らは、安くて品質の良いものだから購入しているのである。

フォーラムでは、ユニチャームの高原社長の講演も興味深かった。まず、一般家庭が家計のどれだけを生理用品や紙おむつに支出するかを調べると、わずか5%しか支出しない。一般家庭の平均月収から算出して、その5%内に収まるように製品の価格設定をする。売り方も一回分を小口でバラ売りする。村々までそうやってマーケティングをして、製品を浸透させていく。

しかし、そこで「日本だから」は売り文句にしていない。売り文句にする必要はないし、「日本製品は高い」と思い込んでいる消費者にかえって不信感を与えることになってしまうかもしれない。ユニチャームのやり方は、極めてオーソドックスで、当たり前に思えた。

それでも、日本企業との付き合いもあるであろう同フォーラムの参加者から、「日本企業は閉鎖的でよく分からない」という声を聞いたのは、今さらながら軽い驚きであった。そのイメージこそが、外国(日本)企業はインドネシアにやってきてコストを抑えて生産し、利益はすべて本国へ持ち帰ってインドネシアには何のメリットもない、というステロタイプ化したイメージを植えつけてしまう。

ソフィヤン会長は「日本企業よ、発進力を強化せよ」と訴えた。それは、「日本だから、を強調せよ」という話では必ずしもない。日本からインドネシアに進出して、インドネシアにどのような貢献をしてきたのか、インドネシアの人々にとってどのように役に立ってきたのか、それを淡々と発信すればよいのである。日本というイメージの陰にある、自分の顔を見せて欲しい、ということである。日本で、日本社会にどう貢献してきたのか、日本の人々にとってどのように役立ってきたのか、それを考えてこなかった日本企業はほとんどないと思う。インドネシアでも、それと同じことをすればいいだけの話、ではないだろうか。

日本企業の方々に個人的な提案がある。

日本からインドネシアに進出して、自分の企業はインドネシアにどのような貢献をしてきたのか、インドネシアの人々にとってどのように役に立ってきたのか、を、日本語でよいので、1〜2枚程度書いてみて欲しい。そして、それを私あてに送って欲しい。

それを基に、私は、自分のブログやFacebook、できれば地元新聞コラム等を通じて、インドネシア語でインドネシア社会へ発信する。ささやかながら、日本企業の発進力強化のお手伝いをさせていただきたいのである。

まずは、書いてみて欲しい。そして、それを私の個人アドレス(matsui01@gmail.com)へ送って欲しい。

微力だと思う。しかし、何もしないよりはよいだろう。少しずつ、少しずつ、我々がインドネシアで、インドネシアと何かをよりしていきやすい環境を作ることに関わっていきたい。

お詫び:5月9日付ブログの訂正

5月9日付ブログは、「国内唯一の産業廃棄物処理施設」というタイトルで書きましたが、その後、同企業の方から、「国内唯一の産業廃棄物向け最終処分場」というのが正しい、とのご指摘を受けました。インドネシア国内には、焼却や(廃油等の)再利用施設ほか、中間処理施設は複数存在するとのことです。

このご指摘に従って、5月9日付ブログのタイトルと中身を訂正しました。読者の皆様に謹んでお詫び申し上げます。

T様、ご指摘をいただき、誠にありがとうございました。

2013年5月11日土曜日

日本側の思い込み病

5月8日、ジャカルタで日経BP社とKompas Gramedia Groupの主催による「第1回日本インドネシア経営者会議(The 1st Indonesia-Japan Business Forum)」に出席した。

会議は日本語・インドネシア語の同時通訳で行われ、会場のケンピンスキーホテルには、多くの方々が集っていたが、残念ながら、日本側に比べて、インドネシア側の出席者の数が大幅に少なかった。一つのテーブルに6人いると、インドネシア人の出席者は1人、という感じだった。

タイトルは「生活革命」。インドネシアの消費市場に大きな変化が起きており、それをうまく取り込んで業績をどのように上げていくか。果敢に攻めるいくつかの日本企業のトップにお話をうかがうというのがメインであった。

一言でいうと、いかにインドネシア市場の現実を知るか、ということにつきる。よそから来た者が自分に都合のいい現実を探し、それに合わせるようにマーケットへ強要しても、マーケットがそれに反応するとは限らない。一度、真っ新な気持ちになって、インドネシア市場の現実から学ぶ姿勢が重要であろう。

日本でうまくいったものが、インドネシアでうまくいくとは限らない。それは、日本国内で、関東でうまくいったものが関西で必ずしもうまくいかないのと同じである。基本中の基本である。しかし、日本とインドネシアの関係になると、なぜか、日本でうまくいったものはインドネシアでも必ずうまくいくはず、だって日本のほうが製品の品質が優れているから、という話が聞こえてくる。それは、単なる思い込みにすぎない。

思い込み病は日本企業に限らない。私が研究所に勤めていた頃、理論に基づいて論文を書いた方に「現実はこうなっている」といくら説明しても、「そうなるはずがない」とわかってもらえなかった。私のような地域研究者は理論面が弱い、というのは認めるにしても、だからといって現実を見ないというのは、たとえ理論研究者であっても、許されることではないと思ったものだ。

また、援助専門家として働いていたときに、「インドネシア側はこのように変わった」といくら担当者に言っても、「あいつらがそんな風に変わるはずがない。うそだよ」と相手にされないどころか、担当者から疎まれた。「あいつら」という言葉にもびっくりしたが、せめて、その人には、自分が経験したインドネシアの実際の話をしてもらいたかった。ほとんどインドネシアの方とはお付き合いのない方だったからである。

思い込み病の患者さんたちは、その予備軍ともいえる方々に同意を求め、患者さんたちで閉じられたグループを作る傾向がある。そして、事あるごとにそれが「正しい」ことを、彼らの狭い世界で確認し合う。その間に、現実はどんどん変わっていく。早く気がつけば、現実に向き合って修正することもできるが、遅くなってしまうと、間違った認識を持ってきたことを素直に認められなくなり、逆に意固地になってしまうことさえある。

ビジネスの世界は正直である。意固地になったところに対して、現実は寛容に対応してはくれない。インドネシアは寛容だといわれるが、ビジネスの世界で甘めに見てもらえることはない。思い込み病が悪化した日本企業は、「こんなはずじゃなかった」状態に陥ってしまうだろう。

思い込み病は、実は、インドネシアでの自分たちの外の世界へ向けての発信力不足にも関わってくる。「第1回日本インドネシア経営者会議」で発言した数少ないインドネシア側スピーカーの一人、インドネシア経営者協会(APINDO)のソフィヤン・ワナンディ会長が何度も強調していたのが、「日本企業よ、発進力を強化せよ」だった。

これについては、別のブログで改めて論じたいと思う。

2013年5月9日木曜日

国内唯一の産業廃棄物向け最終処分場(訂正済)

ジャカルタ出張中の5月8日、午後から日経BPのシンポジウムに出席する前に、西ジャワ州ボゴール県チルンシにあるPT. Prasadha Pamunah Limbah Industri (PPLI) を訪問した。この企業は、日本のDOWAエコシステムの関連会社である。

企業自体は1994年に設立され、元々はアメリカのWMI社の子会社だった。それが2000年にMAEH社にとって代わり、2009年にはそれをDOWAエコシステムが買収し、日系企業となった。

このPPLI社は、産業廃棄物処理を行う企業である。産業廃棄物は、石油ガスなどのプラント現場や工場などから出る金属や化学物質など有害な廃棄物であり、家庭ごみなどの一般廃棄物よりもはるかに危険で有害な物質を含んでいる。このため、特殊な処理を施して無害化して最終処分場に埋めたり、一部は燃料化するなどしている。

インドネシアの都市部では近年、ゴミ問題が深刻な問題となっているが、それは一般廃棄物の問題であり、より有害な産業廃棄物についての関心はまだ大きくないのが現状である。

実際、インドネシアには産業廃棄物処理施設が何ヵ所あるのか。焼却や(廃油等の)再利用施設ほか、中間処理施設は複数存在するそうだが、最終処分場は、このPPLI社1ヵ所なのである。

ちなみに、日本での産業廃棄物処理施設は、中間処理施設が1万9417ヵ所、最終処分施設が2047ヵ所あるとされる(こちらを参照)。

PPLI社には、処理される物質の有害度に応じて2種類の最終処分場がある。さらに、ブカシのMM2100工業団地、スラバヤ、ラモンガン、バタムに産業廃棄物を収集する中継基地を設け、このPPLI社の最終処分施設へ産業廃棄物を搬送する専門のトラック部隊を持っている。

顧客のほとんどは、日系企業を含む外資系企業で、インドネシアの地場企業は少ない。有害物質を扱う企業は自社内で産業廃棄物処理をしている。しかし、少なからぬ企業が産業廃棄物として区別することなく、一般廃棄物として処理している可能性が高い。知らぬ間に、有害な産業廃棄物が一般ごみに交じって処理されている可能性が高いということである。

その背景には、PPLI社での廃棄物処理費用が相当に高いこととともに、産業廃棄物の有害性に対する企業や市民の認識がまだ高くないという事情もある。これは筆者の予感であるが、インドネシア各地で、実は産業廃棄物のまずい処理によって健康被害を被り、身体に異常をきたしている人々は少なからずいるはずだろう。しかし、彼らの多くはそうした知識もなく、それが普通の状態だと思っている可能性がある。そのため、いわゆる公害問題として表面化してこない。

環境問題を取り上げるNGOや市民団体は存在する。しかし、その多くは、科学的な調査に基づくデータ準備力が弱く、それが公害問題であることを立証できていない。一部には、住民をネタにして、政府に圧力をかけたり、個人的な政治的利害の材料に使ったりする場合もあり得る。

グローバル化の中で、企業はコスト競争力の強化を求められ、コスト削減を至上命題としている。市民の安全性への関心が低いことに助けられて、本来考えるべき産業廃棄物処理コストが無視される状態をいつまで続けることができるだろうか。そこにこそ、実は政府の役割があるはずなのだが、インドネシア政府は、民間顔負けの短期的な費用対効果重視の姿勢を見せ、民間にできないことを政府でという姿勢が薄い。それは、インフラ整備を民間資金に頼ろうとする姿勢にもつながる。

インドネシアが産業化していく中で、産業廃棄物処理の問題は益々重要性を持ってくる。社会が豊かになるコストを、関係ステークホルダーが適切に分かち合える方向性を明確にすることが求められてくる。

2013年5月8日水曜日

【お知らせ】さらさ5月号はスラバヤ特集、連載も開始

ジャカルタで発刊されている日本語情報誌『さらさ』2013年5月号は、スラバヤ特集。下記より、期間限定で無料ダウンロード可能である。

http://www.hellodong.com


私も、今号から『さらさ』に「スラバヤ、わが町」という名の連載を開始した。合わせてご高覧いただきたい。

実は、別の日本語情報誌にもスラバヤに関する連載執筆を予定。おそらく、来月号からになる予定。

2013年5月7日火曜日

【お知らせ】じゃかるた新聞に連載開始

本日、5月7日付「じゃかるた新聞」より、隔週火曜日に『松井和久のスラバヤの風』という題で連載を開始しました。

スラバヤ、東ジャワ、東インドネシアの主に経済に焦点を当てたエッセイを予定しています。

ただし、現段階では、ウェブ上では有料ページとなっているようです。ともかく、こちらもご高覧いただければ幸いです。

ニュースネットアジアにも「インドネシア政経ウォッチ」の名で連載中です。今後も、別メディアに連載を予定しています。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

2013年5月5日日曜日

貧乏人は政治家になれない?

政治にはカネがかかる。政治家になるにもカネがかかる。これは、日本でもインドネシアでもある意味、同じかもしれない。民主主義を標榜し、国民主権を掲げ、政治家は国民の代表なのだが、誰もが国民の代表になれるわけではない。

「貧乏人は政治家になれない」というのが現実である。

インドネシア闘争民主党(PDIP)幹部のPramono Anung国会議員の博士論文からの引用という数字が先週の『TEMPO』に載っていた。曰く、以下の人々が議員候補になるために必要な金額はおおよそ以下の通りである。

・アーティスト、スポーツマン、宗教家:2.5〜8億ルピア
・活動家・政党活動家:6〜14億ルピア
・官僚・ 退役軍・警察高官:10〜20億ルピア
・実業家・プロフェッショナル:15〜60億ルピア

100ルピア=1日本円とすれば、最低でも2500万円の資金を用意しないと、議員候補にはなれないということになる。この額は、日本の衆議院議員選挙に出る場合に用意する費用とほぼ同じ額になるようである。

そんな大金をインドネシアのフツーの人が用意できるものだろうか。いろいろ話を聞くが、家や土地や不動産や財産を売却し、親類・縁者から借金をして、苦労して、それでも資金が足りなくて、といった話を聞く。

だから、いったん選挙に出て、勝てば、その借金や費用の回収にどうしても励まざるを得ない。汚職への強い誘因にもなる。 そして負ければ、すべてを失い、貧困生活に陥る場合さえある。

政党は、資金調達のために、できるだけ金持ちの大企業家を取り込みたいのである。資金力が選挙での勝敗の鍵を握るのは明らかである。

それにしても、日本円で数千万円の住宅を購入するために住宅ローンを組み、勤勉に働きながらせっせと返済しているサラリーマンや、急上昇したとはいえ、1ヵ月2万円前後の最低賃金で家族を養っている人々から見れば、選挙に出て議員になるために積まれる大金は、全く別世界のものであろう。

ここに挙げられた政治家になるために必要な資金額が本当ならば、普通に真面目にコツコツ働いてお金を貯めて政治家になる、ということはもはや現実的に困難である。普通の国民が政治家の世界を別世界と感じ、きらびやかなセレブリティの世界と同一視し、政治家に対する期待も関心も失う理由となるだろう。

余談だが、官僚や軍人・警察官になるためには、試験の成績だけでなく、いくらカネを払えるかが暗黙の条件になっており、採用されるためには、ここでも大金を払わなければならない。そのために、田畑や家や家畜や財産を売り払って資金を作っている人々が相当数いるのである。

貧乏人が政治家になれない国、それでも民主国家、共和国、である。

食べもの情報は「食との出会いは一期一会」へ

本ブログ「インドネシアあるくみるきく」から食べもの情報を切り離し、姉妹ブログ「食との出会いは一期一会」へ移すことにしました。

 姉妹ブログ「食との出会いは一期一会」
 URL: http://matsui-food.blogspot.com

本ブログと同様、ご愛読いただきますよう、よろしくお願いいたします。

2013年5月3日金曜日

ジャカルタで5月2日のワークショップを終えて

5月1日夜からジャカルタに来ている。

5月2日の日系企業で働くインドネシア人スタッフを対象としたワークショップを何とか終了した。ほぼ予定通りに終わったとはいえ、主催側としては、ワークショップの進め方や手法について、まだまだ修正すべき点が多いことを痛感した。参加者アンケートの文面もきちんと読んで、しっかり反省したいと思う。

同時に、今回、参加者には、日本人とインドネシア人とのコミュニケーションをよりよくしていくために、日本人に対して求めるものと同時に、自分たちインドネシア人がどうしていく必要があるかについても議論し、書面に書いてもらった。まだ読み終わっていないが、その内容についても、いずれ、皆さんに日本語で公表したいと考えている。

昨日は、ワークショップの後、インドネシアの民間コンサルタント会社と、夜6時から別件での打ち合わせがあり、終わったのが夜8時過ぎ、さすがにどっと疲れてしまった。

今朝は5時半起きして、スラバヤに関する短い締切連載原稿を1本仕上げた。今夜の便でスラバヤへ戻る前に、また別の連載原稿の打ち合わせを関係者と行う予定である。こうした連載原稿やこのブログを通じて、スラバヤやいくつものインドネシアがもっと伝えられるように努めていきたいと思う。

来週も、5月8~9日にジャカルタへ出張する予定である。

2013年5月1日水曜日

5月2日のワークショップ・ジャパンを前に

明日(5/2)、日系企業で働くインドネシア人向けのコミュニケーション能力向上を目的としたワークショップを実施するため、今日(5/1)の夜から3日夜までジャカルタへ出張する。「ワークショップ・ジャパン」と名付けたこのワークショップを実施するのは今回が3回目、基本的な内容は同じだが、一部内容と構成を変えて実施してみる。

昨今の日系企業のインドネシア進出ブームの陰で、日本人経営者・管理者とインドネシア人中堅管理職・スタッフとのコミュニケーションのあり方が重要視されてきている様子がうかがえる。お互いに「相手はこう思っているだろう」という一種の思い込みを持ったまま、それを確認することもなく、物事を進めてしまう。しばらくは何も起こらないので、一種の思い込みが正しかったと錯覚しがちになる。

インドネシア人中堅管理職・スタッフの側からそれを確認しようとするのは難しい。彼らはこれまで、言われたことを忠実にその通りにやるように仕向けられてきたからである。その背景には「相手を喜ばせる」「相手を決して傷つけない」「相手が思うように自分を合わせる」という態度にも表れている。そうしている間、とくに問題が起こらなければそれでよい、のである。

実はそうでなかった、ということに気づいて、「すまん」「すみません」といって済ませられる状況で済ませられればよいのだが、それが放置されたまま、「実はそうでなかった」が幾重にも重なっていくと、ある日突然、何かのきっかけでそれが表面化する。表面化は、必ずしも、いきなり暴力的行動に出るアモック、日本流に言えばキレる、という形になるとは限らない。通常、それは最後の手段である。

その前に、欠勤したり、モノが無くなったり、誰かの悪口や変な噂が流布されたり、些細だがおかしなことが起こる。表面的には、全く関係のないことが多いので、それが見過ごされがちになるが、コミュニケーションがうまくいっていないことへの不満のサインであるケースも少なくない。

こうした状況を是正することは、実は企業内部の当事者同士では意外に難しい。なぜなら、彼らは日々接し、互いに分かっていると思いながら仕事をしているので、「まさか」という事態を想定していないし、それを期待もしていない。両者の本当の気持ちが表れるようにするためには、第三者による適切な働きかけが必要になってくる。

それは、その第三者が日本人経営者・管理者よりもインドネシア人中堅管理職・スタッフのことを良く知っている、あるいはインドネシア人中堅管理職・スタッフよりも日本人経営者・管理者のことを良く知っている、という意味では全くない。そんなことはあり得ない。しかし、両者がお互いにもっと本当の気持ちを知ろうとするきっかけ作りを起こすことはできる。それだけの話である。

この部分を放置したまま、表面的な友好関係を続けているうちに、インドネシア人は親日的だ、日本人はインドネシアと仲良くやっていける、と互いに思い込んだまま、表面的な友好関係で終わってしまうのではないか、という危惧を最近とくに感じている。

大きな話かもしれないが、こうしたことが日本とインドネシアの今後にとっても重要になるのだと思っている。

そんな気持ちを持ちながら、ささやかな試みではあるが、このワークショップを実施していくつもりである。

5月2日の次は、ジャカルタで6月3日、スラバヤで6月12日に実施することを予定している。定員はいずれも30名である。 企業向けの出張ワークショップも承っている。

もっとも、ワークショップをやりながら、この問題は決して日系企業や日本=インドネシア関係だけでなく、どこにでも起こっている問題だと感じている。インドネシア人同士の間でも、勝手な思い込みで会話がなされ、互いに誤解したまま話が進んでしまうケースが少なくない。言語が通じるからコミュニケーションがうまくいく訳ではないのである。